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裏切りの街


「人は裏切る 絶対に--」

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先週パルコ・プロデュース『裏切りの街』を観てきました。

(スポットMOVIE:Vol.1, Vol.2

作・演出:三浦大輔(ポツドール)
出演:秋山菜津子・田中圭・安藤サクラ・松尾スズキ・他
音楽:銀杏BOYZ




パンフレットより。
朝。
点けっぱなしのテレビ。
フリーターの菅原は、今日もバイトをさぼって家にいる。
やることもなくテレクラに電話すると、何度か代わってつながったのは、専業主婦の智子だった。
退屈な昼間を持て余している二人は、
急に会う約束をし、荻窪で待ち合わせをする。
菅原は同棲相手の里美から渡された小遣いの2000円を財布に突っ込み、智子は、旦那の浩二に買ってもらった一張羅のワンピースを着て。

その後も逢瀬を続ける二人だが、彼らの関係は、何か積極的な方向に発展するわけでもない。
たまに会って話をし、時には身体を重ねる、ただそれだけ--。

変化と決断から逃げ続ける二人の心をざわつかせるのは、
きちんとした社会人であるお互いのパートナーや、
結婚で自分の人生にけじめをつけようとする智子の妹・裕子。
ずばりと痛い所を突いてくる菅原の友人・今井、
恋人の浮気相談をする浩二の部下・田村の存在。

そしてついに二人は、
なんとしても避けられない事態に直面するのだった--。


なんでそうなったかも分からない。
いや、きっかけにおいてはどちらかの意思があった筈だけど
意思だけでは、そういうことにはならない。
なんとなく。なんとなく。
なんとなくな男と女の関係。


劇中の主人公ふたりからは、きっかけの「意思」さえ読み取れない。
ふたりの間には、会ってしょうもない話をすること、セックスをすることと
「バレないか」という不安しかない。
驚くべきことに、最後まで互いの名前さえ知らない。


作・演出の三浦大輔の言葉。
「裏切りの街」は怠けたい人間達の話です。
自分がやったことの責任もとらずに、決断を先送りして、逃げて、逃げて。
その果てには何があるのか。罪か罰か。
いや、現実は意外に生温かい。
時間の流れに身をまかせていれば、なんとなーく帳尻は合わせられるものである。
それは「善」だろうか「悪」だろうか。
いや、振り子のように行ったり来たりする宙ぶらりんな状態が、人間だろう。


ラストで主人公たちが
「俺たち、ダメ人間ですよね」「顔は、いいのにね」「そうですね」
なんて会話をする。


「ダメ人間」。
このふたり、その通りかも知れない。
でも、登場人物の中で一番イノセントで正直で人間らしいのは
この「ダメ人間」である主人公ふたりじゃないかと、私には映りました。

アイでも無い、コイでもない。
どうにもならない、先の無い関係のままのふたりが
ラストでは、まるで純粋無垢な少年少女のようで、なにかとても美しく見えました。


物語は荻窪・西荻・吉祥寺という割と狭いエリアで展開しますが
「中央線のボーイ・ミーツ・ガール物語」
と言えなくもないような。(それはちょっと違うか)

そう言えば
中央線のあのあたりの雰囲気を抽象化して表している舞台美術も、よかったです。


実は「裏切」っているのは二人だけじゃないんですけど
お互いの表向きのパートナーを演じている
松尾スズキと安藤サクラが、ホント適役です。

特に松尾スズキの裏表があって、でもギリギリその裏と表がつながっている
キモチの悪さなんて、もう名人芸の域かと。



PARCO劇場では5月30日まで、その後大阪と福岡で公演があります。
観て損は無い舞台だと思います。

by David_lam | 2010-05-22 11:19 | 観・聴
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